相模原の浄土真宗のお寺『本弘寺』

住職の法話

タイトル:『迷惑をかけ通し 赦され続けて 今日を生きる』(2025年1月 1日)

 新年を迎えました。皆様おめでとうございます。

 令和6年は先の坊守が1月5日に往生されたことから始まり、満中陰法要を無事に勤めさせていただいた頃より、私が2週間ちょっとの緊急入院しなくてはならない状況になりまして、退院後も北里大学病院では出来ないといわれた手術をしてくださる病院を探したりしつつ、春から初夏までは慶応大学病院、東大病院などなど思いもよらなかった病院で検査などを受けました。その間にも数回入院などもありましたが、結局これといって治療が出来たわけでもなく母のこともありましたし、肉体的精神的に疲弊し続けた半年でした。

 とくに治療法もないのならば今できることを精一杯勤めようと張り切って働いた7月8月でしたがこれが良くなかったようで再び緊急入院。今回は1か月にも及びました。まだ3週間は入院してもらいますといわれた次の日に、ベッドに空きがないので退院してくれといわれなんとなくモヤモヤとしながらも退院しました。退院しても家での安静が求められましたが、寺に戻ればそんなこともいっておられず、再び少しずつ働いたのですが、やはり再び2週間ちょっとの緊急入院
そんなこんなで年の4分の1を病院で過ごすはめになり、ホームページなどの更新も出来ず失礼しました。今は退院し、次の入院の予定もありませんが、身体を動かすのが大変きつくなって参りました。これからどうなることか考えますと少し気も滅入りますが、新しい年も出来ることをやって参りますのでよろしくお願い致します。

 さて、入院をする度に感じ、妻、父、そして息子達に毎回伝えた言葉があります。「迷惑をかけてしまい申し訳ない。」この一言です。普段私一人で法務を勤めておりますし、事務的なことも誰にも教えずに自分でやって参りましたから、入院してしまうと、妻も息子も分からないことだらけとなります。心配で心配でたまらないのですが、電話で説明をして一つ一つこなしてもらいました。今まで教えてこなかった私が悪いにもかかわらず、なかなか理解してもらえないときなどは病室で大声を出してしまったりもしました。しかし、妻がなんとかうまくこなしてくださったお陰で滞りなく進みました。

 ご予約いただいておりましたご法事や急遽入ってきますご葬儀は、御本山に奉職させていただいている息子達に無理を言っては休んでいただき、なんとか勤めていただきました。せっかくのお休みを相模原まで戻ってきて休む暇もなくお勤めしていただくのは心苦しいことでしたし、御本山の皆様にも大変ご迷惑をおかけしました。

 退院してからも今まで通りに動けませんから、ことあるごとに妻や息子にあれこれお願いをしています。私はと言うと一日中ソファーでじっとしているばかりです。誠に申し訳ないのであります。

 そういう情けない自分を見つめながら、ふと母のことを思い出すことがございます。考えてみますと、母に「迷惑」といわれたことは一度もございませんでした。逆に私が迷惑かけてごめんと謝ったときには「迷惑をかけないで生きていける人なんかいないのよ。」と励ましてくださいました。

 確かに皆誰でも誰かに迷惑をかけながら生きているのです。過激な人の中には人間が生きているだけで地球に迷惑をかけているという人もいます。極論を言えばそうなのかもしれませんね。そこまで大きな世界でなくても、家族の中でも、友人知人の間柄でも、仕事仲間でも、何かしら迷惑をかけているのが私たちではないでしょうか。あちらからも迷惑をかけられているのだからお互い様だ!とか、迷惑をかけないで生きていくなんて無理なのだから気にすることはない!などと開き直るつもりではありません。迷惑をかけ続けているにもかかわらず、妻も子供も「大丈夫。大丈夫。気にしないでゆっくりして。」と赦し支えてくださいます。なんとも有り難いことであります。これからもずっと迷惑をかけて生きていくのでありましょう。そしてそれを赦される日々でございましょう。だからこそそんな毎日を自分の出来る精一杯を持って生きていかなくてはならないと思うのであります。

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