相模原の浄土真宗のお寺『本弘寺』

住職の法話

タイトル:『桜の花に教えられること』(2007年4月 1日)

つぼみの時があれば 花咲く時もある
散る時も来る それぞれに味わいあり

 満開に咲いた桜の花に人は素晴らしい!美事だ!と感嘆の声を上げ、夜はライトアップまでして花見を楽しんでいる。しかし花の命は短く、冷たい雨に打たれたり、春の嵐に吹かれれば桜吹雪となってあっと言う間に散ってしまう。人は桜の花はあとが嫌だ。散った花びらは道路にこびりついて汚くて掃除が大変だと嘆く。桜の花が美しいと褒められるのはほんの一時、すぐに汚いと文句を言われる。桜にしては勝手なこと言うなよと思うでしょうね。


 私は咲いた時はもちろん美事だ美しいと思いますが、散っていく姿にも、冬になって一枚一枚葉を落とす中にも、その時その時をしっかり生き抜く姿に桜の命を感じ嬉しく思うのです。


 人生も無邪気な子供の頃もあります。純真な少年の時もある。希望に燃える青年の頃、生気あふれる成人の時もあるし、全てを達感し寂静の境地に達する時も来るのでしょう。内容的にも貧しい時もあれば恵まれる時もある。健康な時もあれば病気にもなる。悩み悲しみに苦しむ時もあれば喜び幸せいっぱいの時もある。友に裏切られる時もあれば守られる時もある。それが人生であろうし、いかなる時でもその時その時を精一杯生かさせていただくことの大切さを、桜の花を通して教えられます。そこに深い味わいを覚えると自然とナンマンダブツ、ナンマンダブツとお念仏が湧いてくるのであります。合掌

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