相模原の浄土真宗のお寺『本弘寺』

住職の法話

タイトル:『人身受け難し 今すでに受く 仏法聞き難し 今すでに聞く 安心頂き難し 今すでに頂く』(2016年2月 1日)

人身受け難し 今すでに受く
仏法聞き難し 今すでに聞く
安心頂き難し 今すでに頂く


 日本漢字能力検定協会は毎年、日本のその年の世相を漢字一字で発表されますが、昨年平成27年度は何の字が発表されるのかと、大きな関心がありました。平成27年は横浜のマンション杭打ち偽装が全国に広がりを見せましたし、血液製剤の何十年にもわたっての不正製造が発覚されました。
平成19年の設計偽装とか老舗と呼ばれる有名店が次々と消費期限など食品偽装をしていたことが明るみになり、その年の世相を表す漢字は「偽」と発表されたことが思い出され、平成27年も「偽」と発表されるのかと思っておりましたが、「安」と発表されました。


 「安」は安全保障関連法をめぐる議論が政界だけでなく、一般社会でも高まったことや、テロ事件で安心が脅かされていることが主な理由だと解説されていました。
恒例になっている清水寺の森清範貫首さんが「安」の字を見事な字で揮毫され、「来年は本来の意味での安心、安全が訪れるよう心を込めて書きました。」とコメントされました。


 本来の意味での安心とはどういうことでしょうか?安倍首相も2015年の世相を表す漢字に「安」が選ばれたことについて「テロや災害が続き、国民の安心を願う気持ちが強かったのではないか」と述べられ、「政治の責任として国民の安全を守り抜く」と、決意も示され「安」を倍増すると安倍になるとジョークを記者団に語られたとのことです。上手いことを言うなと感心します。


 安倍首相はご自身では国民の安全、安心を守るという思いを強い気持ちで真摯に自信を持って実現しようと政治を司っておられるとは思いますが、私には安全保障法や沖縄の問題等、強行に押し通そうとする姿勢に不安をかき立てられる思いはぬぐえないのです。
やはり私には安らげる心、本当の安心は仏法を聞かせて頂く中にしか味わえないと思うのです。仏法を聞かせて頂くご縁に会えたことを心から喜んでいるのです。


 仏法でも「安」という字は大事にされています。安心、安楽、安養(あんにょう)などに使われています。安心は"あんしん"とは読まず"あんじん"と発音します。安心とは阿弥陀如来の本願(真の願い)が阿弥陀如来の方から私に働きかけてくださり、阿弥陀如来の真の願いが私の心に深く受け止められ、すべてを阿弥陀如来にお任せできる心になれるのです。それが安心であります。


 その安心が自然と私の口からこぼれるのがお念仏であります。そのお念仏を称えるとき、私は阿弥陀如来にすべてを任せきっていますので阿弥陀如来と一体となった感がするのです。まさに一如の姿であります。そこには不安も恐れも迷いもない穏やかな安らかな晴れ晴れとした心になれるのであります。ちょうど赤児が母の胸に懐かれて安心しきって眠りに入っている姿のように思います。私にとってはこれこそが本当の安心の世界であります。合掌

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