相模原の浄土真宗のお寺『本弘寺』

住職の法話

タイトル:『知らずに大きな罪をおかしている』(2004年11月 1日)

知らずに
大きな罪を
おかしている
自分がいる

 先日、私の長女がこんな話をしました。新宿駅の券売機の前である若い女性が財布からコインを出して切符を買う時に1円玉をコロリと落としたのだそうです。私の娘がそれを拾ってその方に「ハイ、落としましたよ」と言って1円玉を手渡そうとしますと、その女性は「そんなのいらないわよ!」と言ってさっさと行ってしまったのこと。娘は、まわりに他人がいるし、その1円玉をどうしようかと思うと気まずく、恥ずかしいような気になり困ったわと言うのです。そして娘は、「あんな綺麗な女性がなんと言うことだろう。私には考えられないわ。今日1日さみしくなってしまったわ」と言うのです。聞いていた母親が、「あなたの取った行動はそれで良いのよ。人間はいつでも素直な心が欲しいわね。まわりの他人もあなたのことを悪く思う人はいないわよ」と慰めていました。その女性は恐らく自分のその一言が、「そんなのいらないわよ」の一言が、親切にしてくれた人の心を1日悲しませたとは思わないでしょう。私も私の一言が、知らずにどれ程の人の心を傷つけているかと深く反省をしました。その女性も、「あのときなんで素直にありがとうと言えなかったのだろう。あんな言い方をして私の心はなんと汚い心なんだろう。なんと恥ずかしい心なんだろう。なんと罪深いのだろう」と気が付くことができない限り、その女性の一生は虚しい人生だと思うのです。勿論、そのような人にも、旅行に出かけるとか、スポーツをするとかいろいろ楽しいことはあるのですが、自分自身を、自分の心を知ろうとしない限り、人生の本当の悦びを味わうことは出来ないと思うのです。自分自身に気付く、本当の自分に出会うと言うことが大切なことなのです。本当の自分に出会うことほど難しいことはありません。仏法聴聞せずには本当の自分に気付くことは出来ないでしょう。11月28日は親鸞聖人の祥月命日であります。本山をはじめ全国津々浦々の末寺で報恩講がつとまります。当寺でも11月21日午前10時より厳修いたします。是非、聖人を偲び、聖人の教えに耳を傾け、自分を見つめ、人生の真の悦びを求めたいものです。ご自由にご参詣ください。

合掌

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